2011年03月13日

明日のために

 だんだん東京は常態に戻ってきました。
 ただ、テレビをつければ、津波、行方不明者、今も助けを待っている方たち、原発、のニュース。
 まだまだ、これからが大事。

 地震発生時、私は、連載のために編集部の最上階、9階にいました。
 いつもより少し早く、着いていました。もしいつも通りだったら、地下鉄の中にいた。
 会議室のあるロビーで待っていると、小さくビルが揺れはじめ「あ、また地震。最近、多いね」と思っている間にも揺れはどんどん大きく。
 エレベーター棟からは、ガゴンガンガンガギン、といった、聞いたことのないような異音が聞こえてきます。
 振り返ると、担当編集さんの背中が。
 「ここにいます、ここです」と必死で呼びました。
 どなたかに「机の下に入って下さい」と背中を押され、揺れている中、机の所まで走りました。
 足下がフワフワしていて、怖いと言うより、非日常感が強かった。
 机の下で、すぐ近くの大きな窓が割れないか見ていた。
 ビルのてっぺんのクレーンが、大きく大きく揺れていた。
 振り返ると、担当編集さんが、自分は机からはみだして私の背中を守ってくれていた。
 「地震は長くても1分以内、でも被災者の多くがもっともっと長く感じていた、って聞いたことあるけれど、本当だな」とぼんやり。 
 
 異音は、本棟とエレベーター棟が別の作りだったため、つなぎ目が壊れていく音でした。
 天井が一部崩落して、水がスプリンクラーのように噴出していました。
 9階の床はすなわち8階の天井。その部分を踏むと、下まで落ちる可能性もあるので、避けて通るように指示が出されました。

 一度ビルの外に出て、落ち着くのを待ち。
 でもやっぱり寒いので、しばらくしてビルに戻り。
 入り口近くの喫茶店で様子を伺い。
 電車の状況を見て帰れないことがわかり。
 移動するか、とどまるか、話し合い。
 近くのコンビニに買いだしに行き。
 なんてやっているうちに、時間はどんどん過ぎていく。
 その間ずっと、ネットで震災の様子を見ていました。

 一部電車の復旧を待って、夜中に妹の家へ移動。
 少し離れた駅まで歩く間、真夜中の町なのにたくさんの人が移動していて、不思議な光景だった。
 何度も何度も余震が来て、もう目眩なのか、本当に揺れているのかわからない。

 妹の家で夜中2時くらいまでニュースを見ていました。
 見始めると、目が離せない。
 世界が大変なことになっていく。
 就寝しても、何度も地震速報メールで起こされる。
 
 次の日は8時頃起床。
 妹が用意してくれた朝ご飯を食べながら、電車が復旧するのを待ち、仕事へ。
 台本もない、お化粧もしていない、着の身着のまま。
 でも、いつものメンバーが一人も欠けずに揃っていて、何よりほっとした。
 本番以外はスタジオのドアを開けたまま、収録していました。

 スタジオロビーに出て、休憩しているとき。
 テレビでは音を消したニュース画像。
 赤い繋ぎの男性が、膝まで水につかりながら、毛布でくるんだ子供さんらしきものを運んでいる。
 お父さんなのか、救助に来た方なのか。
 その毛布の中にいる子が、息をしているのか私にはわからない。
 その映像にかぶって、スタジオからは、明るい台詞。
 初めて涙が出た。
 
 何をしているんだろう、という気持ちと。
 これしかできないんだ、という気持ち。
 私達が今していることは、被災者の方たちの苦境を救う役には全く立たない。
 でも、オンエアされる1ヶ月後には、誰かの笑顔の役に立つかもしれない。
 今日は辛いけど、明日はきっともう少し良くなる。少しでも、そう思ってもらえるように。

 エンターテインメントは、絵に描いた餅。
 でも、その餅は心のご飯なんだ。

 ツイッターでは25000人を越える人がフォローしてくれている。
 きっとその中には、被災された方もいる。
 その中の誰かの呟きを、私はもう目にできないのかもしれない。
 25000人の中の、誰が黙ってしまったのか、私にはわからない。
 その誰かともう喋れなくなってるかもしれないなんて、考えたくない。

 時間が立って、被害状況は明らかになっていく。
 希望と絶望では、絶望の方が多く積み重なっていく。
 でも、それを越えた明日に、私たちは、絵に描いた餅を届けるよ。

 (「大地震、停電、津波、原発と大災害が起こっている中、スイーツの話をしている場合ではないでしょう。 」というコメントを戴きました。ツイッターでも不謹慎だ、という声を戴きました。
 お叱りはごもっともです。
 ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。
 ただ、この下の記事は、予約投稿というシステムによって投稿されたものです。
 予約投稿とは、指定した時間に、予め書いておいたブログ記事を投稿するシステムです。
 書いたのは、地震が起こる前であり、地震から28時間、私は家に帰ることができませんでした。
 なので、予約投稿を止めることもできませんでした。
 お辛い気持ち、不安な気持ちを、何かにぶつけたい衝動は、とても良くわかります。
 でも、できればそのエネルギーは、より建設的なことのために取っておいて下さい。

 また「予約投稿だということを明かして良いのか」というお声もいただきました。幻滅された方もいらっしゃるようです。
 ただ、「ブログは全て書いた直後に上げなければいけない」という決まりではないと思うんです。
 実際、海老の記事と、その後のデザートの記事は、実質的に一つの記事です。それを、長くなると読みにくくなるから、と思い、二つに分けました。
 イベント告知などは解禁時期もあります。事前に書いておいて、解禁時に確実にアップされるよう予約投稿をしておく、という手段はとても便利です。
 即時性としては、ツイッター。
 何度も読み返したり、記事としてのまとまりのあるものは、ブログ。
 私はそんな使い分けをいしています。
 ご賛同いただければ幸いです)
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